ご無沙汰しております。
昆虫博士の細野です。
先日のある晴れた午後、ホームセンターで花の苗を見ていたところ、パンジーやビオラの周囲に、オレンジ色に黒い斑点のあるチョウが驚くほど飛び交っていました。
あまりの数に避けてしまうほど(!)
私はこのチョウを写真に収め、このチョウの事を調べてみる事にしました。
おそらくこのチョウの名前は“ツマグロヒョウモン”
漢字で書くと“褄黒豹紋”…見た目の通りです。
このチョウは温かい場所を好むらしく、元々日本では四国と九州、本州の南西部のみに生息していたとの事。
それが温暖化の影響で生息域が北上し、1990年代以降には東海地方や関東地方の南部、そして2006年には北関東でもほぼ定着したそうです。
更に、生息域が北上した事は温暖化の影響のみではなく、元々このチョウの幼虫の食物が野生のスミレ類だったものが、人が植えた園芸品種のスミレ類であるパンジーやビオラが増え、それらを食べる事で、わざわざ自然豊かな場所で野生のスミレを探す事なく、都会でも生きる事が出来たというのです。
そして更に更に…他のヒョウモンチョウ類は殆どが年1回の発生に対し、“ツマグロヒョウモン”は春から秋の間に4~5回も産まれるという逞しさです。
ホームセンターで、園芸品種の花に群がっていた理由が分かりました。
見事に環境に適応し繁栄している逞しいチョウだったのです。
そして私たちの責任でもある温暖化。
その影響であらゆる生物の生息域が拡大し、本来の生息域ではない場所で発見される事が増えているようです。
ニュース等でもよく取り上げられており、明らかに生態系が変化している事を感じます。
更に言えば、絶滅を危惧されている生物さえいるのです。
…と、話は拡がってしまいましたが、ある午後の日にたまたま目にしたチョウは、私に色々な事を考えさせてくれました。
ちなみに、メスと比べオスが美しい生物が多い中で、この“ツマグロヒョウモン”はメスの方が美しいようです。
皆さんも、パンジーやビオラの周囲でこのチョウに出会う事が出来ると思いますよ。